時間があれば、自然を求めいろんな地に足を運んでいます。

自然は「すでに全てがここにある」ということを教えてくれる、そんな感覚がずっとありました。

最近出会った本が、そのことをわかりやすく書いてくれていたので紹介します。

養老孟司さんの『ものがわかるということ』(祥伝社)

 

  木や草が生えていても、建物のない空間を見ると、都会の人は「空き地がある」と言うでしょう。人間が利用しない限り、それは空き地だという感覚です。

  空き地って 「空いている」ということです。ところがそこには木が生えて、鳥がいて、虫がいて、モグラもいるかもしれない。生き物がいるのだから、空っぽなんてことはありません。――『ものがわかるということ』

今の自分は多分、一般的にいうと都会に住んでいる側の人間。
一見「ない」ものなんてないような便利なところに住んでおきながら、
なぜか自然なところに行けば行くほど、「ある」という感覚が強くなる。
ずっと不思議だったこの現象が、この本との出会いで少しだけ分かった気がしました。

なるほど。私は世間一般でいうところの「何もない」に違和感があったのか……!
自然の中にあるものは、全てが必要なもので、すでに地球が全てを用意してくれている。
そして余計なものがないから、それに気付きやすい。

でも私は、都会での生活もなんだかんだとても楽しんでいたりするのです。
ノイズだらけのごちゃっとしたところで、本当に必要なものを探すことも、それはそれで面白い。
まだまだ知らないことだらけですが、どちらの良さももっと知っていきたい。そう思います。

▲この帯に惹かれて、すぐに購入しました

そしてそれと同時に、すべて知りたいなんて、
なんて浅はかなことなんだろうとも思わせてくれるのがこの本の面白いところ。

世界をわかろうとする努力は大切である。
でもわかってしまってはいけないのである。
そこの土俵際が難しい。――『ものがわかるということ』

そうだよね、私にわかることなんて、たかが知れてるよね……!

ものごとの本質を養老さん独自の視点から教えてもらうことで、
背筋が伸びるような発見もありながら、なぜか気持ちもすっと楽になる。
とても素敵な本に出会えました。